2011年8月4日木曜日

<イベント報告> 7/30 八坂川の希少生物の観賞会・観察会

7月30日の土曜日に杵築市八坂川の汽水域にある身投げ石近辺と河口の守江湾干潟で希少生物の観賞会・観察会を行いました。

「めじろん放送局 八坂川希少生物の観賞会と観察会 (動画レポート)」 http://www.mejiron.tv/channel/1/video_detail.php?vc=131370648213

八坂川河口の橋詰公園で9時半に受付を開始し、10時に開会。
今日の観察の先生は、杵築生まれ、杵築育ちのごくごく普通の杵築市民です。
野外活動につきもののちょっとした注意事項をお話した後、さっそく干潟へ
出てカブトガニの幼生探し。
すぐに、8齢のカブトガニの幼生を見つけ、参加者で観察しました。
カブトガニは日が昇って暑くなると泥の中に潜ってしまい見つけられなくな
るため最初の観察対象にしたのが功を奏しました。

次は汽水域の希少植物と希少動物。車に分乗して通称身投げ石へ。

ここには、直径7~8cmで鮮やかな黄色のハマボウの花が咲いています。
ハマボウというとハマユウやハマボウフウと勘違いする人がいますが、学名でハイビスカス・ハマボウというれっきとした樹木です。ムクゲやフヨウの花によく似ています。

昔からここに自然に生えていたハマボウと八坂川ショートカット工事の時に埋め立てられる川岸から移植したハマボウ、そのハマボウの子ハマボウ、さらに孫ハマボウが美しい花を咲かせています。
ハマボウの花には真夏のギラギラした太陽がよく似合います。
ハマボウの花は朝蕾から開いて夕方には萎んで終わり。花の命はわずかに1日、そのわずか1日の間に受粉します。
毎日たくさんの花が咲いていますが全部昨日の花とは違うのです。
八坂川対岸の岸にも水際に完全野生のハマボウが数本咲いていました。
ハマボウの実は木から川に落ちて水に乗って流れて子孫の生育域を広げます。
ハマボウの実が水に乗って流れるためには、水の比重がある範囲内にないとなりません。淡水では実が沈んでしまい流れていけず溺死するのです。だからハマボウは汽水域や河口以外では生育できないのです。
などの説明を聞く。

そして、ハマボウの根元付近にオカミミガイという貝を見つけました。
陸生の貝ということでカタツムリと同じですが殻の厚みが全く違っています。
カタツムリは陸上生活に合わせて進化し、殻が薄くなり軽くなりました。
オカミミガイは進化に乗り遅れ、いまだに厚い重い殻を背負って暮らしてます。
そのため、歩く(進む)時、殻を置き去りにしてまず身体が先行します。そしてめいっぱい身体を伸ばしきったところで殻を引き寄せます。まるで尺取虫のような面白い歩き方をします。

説明を聞きながら手のひらにオカミミガイを乗せて実際に動作を観察しまし
た。 
八坂川ショートカット工事のときに新しく人工的に作った川に行政にお願いしてオカミミガイのサンクチュアリを作っていただきました。
そこへ行く途中、小さな小さな巻貝のカワザンショウを見つけました。
護岸の石にへばりついています。山椒の実よりも小さい貝です。
写真で見える葦の茂み(人物の向こう側)がオカミミガイのサンクチュアリです。
 ここではみなが競争してオカミミガイを探しました。たくさんいます。
日本では絶滅危惧種、大分県でも絶滅危惧種ですが、ここ杵築市の八坂川にはかろ
うじてまだ生息しています。大事に守っていかなければなりません。
オカミミガイの生息域は川の水面(海面)から海抜50cmまでの間ということでごく限られたところにしか棲めないらしいです。水がありすぎても少なすぎても生きていけないのです。
そういう適応力のなさが生息数の減少に繋がるのでしょう。

センベイアワモチという殻を持たない貝が八坂川では絶滅してしまったと聞
きました。
最近の話です。お隣の猪野川でも激減しています。


カブトガニの幼生、ハマボウの花、古代の貝オカミミガイ、小さな小さなカワザンショウを観賞・観察したところで、お昼ご飯休憩とします。
先生は料理も得意、お昼ご飯を今日のイベントの目玉にしちゃいました。
杵築市東地区公民館を借りて調理と食事。
全員で食卓並べや調理を行います。
大型の鯛の差し入れもあり豪華です。
野菜も油揚げもちくわも太刀魚の干物もちりめんもすべて杵築産です。
冷やし味噌汁の味噌も杵築が世界に誇る綾部味噌。
もちろんお米も杵築産です。
水も杵築の地下水です。
豪華でおいしい昼食でしたが準備と食事と片付けで3時間もかかりました。
片付けもみなできちんとやりました。
翌日東地区公民館へ利用料金を払いにいったら、とってもきれいに使ってくれてありがとうってお礼を言われちゃいました。

本日最後のイベントは守江湾干潟に生きる希少生物たちの観察です。
朝の集合場所のすぐ下の干潟に行きました。
最初はカニ。
アシハラガニ、チゴガニ、 コメツキガニ、ハクセンシオマネキ、ヤマトオサガニ。
コメツキガ二はずいぶん少なくなってきました。
ハクセンシオマネキも減りました。5年前には砂浜が白く見えるほどたくさ
んいたのに!
ハクセンシオマネキはハサミの大きさが右と左で極端に違います。右が大きいものもいれば左が大きいものもいます。右利き、左利きのように個体差です。

足元にびっしりまき散らかしたように転がっている巻貝はヘナタリとウミニナの仲間です。それぞれ細かく種類は分かれますが私にはそこまでわからない。
名前だけはいくつか聞いています。フトヘナタリ、クロヘナタリ、シマヘナ
タリ、単なるヘナタリってのもいるらしい。
一見したところヘナタリとウミニナの区別はつきませんがよく観察すると違いがわかるようになるらしいです。

貝やカニは水質浄化にとても役立っているんです。貝やカニがいるおかげできれいな水が保てています。

少し沖へ行ってみました。ずっと沖まで砂浜です。すごい遠浅なのです。
途中の水溜りにマメコブシガニがいました。
カニの横ばいなどと言い、カニは横に歩くものと思われていますが、このマメコブシガ二は縦にも歩くことができるのです。
縦に歩くところをビデオに収めようと奮闘努力しましたが、暑さのためマメコブシガニは前には歩かずに、後ずさってお尻から砂に潜ってしまいました。
水溜りに手をつけてみるとそれはまるでお風呂でした。砂に潜りたくなるのも仕方ないですね。

午後三時、そろそろお終いということで陸に上がります。
今日のイベントはここまで。お疲れ様でした。
取材は、めじろん放送局と大分合同新聞社と大分県土木事務所でした。

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